今日は英語学習者が抱きがちな「”聞き流し”は本当に効果が無いのか?」という疑問について書きます。
結論から言うと、「やらないよりはマシ」です。
こういった英語学習法の話になると、色々な人が自身の経験に基づいて主張をするため、どのアドバイスを参考にすればいいのか分からなくなることがあるかと思います。
「集中して聞かなければ効率が悪い」、「知識が無いと理解できない」などなど、色々な意見があるとは思いますが、「やらないよりはマシ」です。
ただ、注意点もいくつかあるので、それもふまえた上で聞き流しをするか、他の方法を取るかを判断してもらえればと思います。
私自身、元々リスニングが苦手で、リーディング派だったのですが、2024年5月から「やらないよりマシじゃね?」と思い、暇さえあればイヤホン付けて英語を聴き始めました。(最初はマイクラやりながらだらだら一日中聴いていました)
すると、Linguaskill businessという試験で、1年前と比較してリスニングが151点(B1)→171点(B2)に上がりました。
まさか20点も上がるなんて思っていなかったので、自分でもびっくりだったのですが、聞き流すようになったことが一役買ってくれたのかなーと思います。
現時点で、TOEIC900点・英検準1級と英語学習者としては中の上くらいです。(ただ、TOEICはその後830点まで下がりました。)
「めちゃくちゃ英語できます☆」というレベルではありませんが、それでも英語学習に結構な時間を費やしてきたので、少しでも参考になれば嬉しいです。
聞き流し肯定派の意見
まず、聞き流しについての肯定的な意見を見てみましょう。
まずは「Matt vs Japan」さん。(言語習得界隈で有名な方です)
Mattさんは、アメリカ人の日本語学習者でアメリカに住みながら日本語をペラペラになった自身の経験をもとに、言語学習について有益な情報を発信してくれています(厳密には、学生の頃に日本へ短期留学をしたとのことですが、その期間で日本語が伸びたのではなく、アメリカに帰ってから伸ばしたとのこと)。
はじめてMattさんの日本語を聞いた時、日本人のイントネーションに限りなく近かったので衝撃を受けたのを今でも覚えていますが、だからこそ第二言語学習者にとって参考になる部分がかなりあります。
そんなMattさんが勧める勉強法の一つに”聞き流し”があります。
正確には、”アウトプットよりも、大量のインプット(つまりはImmersion)が大事”というのがMattさんの意見で、聞き流しだけでペラペラになれるとは主張していないのですが、聞き流しについてある程度肯定的な見方をしているとも言えるかと思います。
Mattさんの学習法はSteve Krashenという言語学者が提唱している言語習得法に基づいているとのことです。
それによると、リスニング(聞く)は、以下の3段階に分類できます。
①Active listening(アクティブ・リスニング)
→英語を意識的に集中して聞いている状態。文字通りアクティブに英語を聞いている状態。
②Partially active listening(パーシャリー・アクティブ・リスニング)
→部分的に英語に意識が向いている状態。他の作業をしながら英語を聞いている状態。料理や洗濯など他の作業をしてはいるが、英語に意識が向いている。
③Passive listening(パッシブ・リスニング)
→完全に英語に意識が向いていない状態。ただただ英語が流れているものの,他の作業に意識が向いており、英語は全く頭に入ってきていない状態。
この分類で考えると私たちが言う”聞き流し”は②と③の状態を指すものと思われます。
”聞き流し否定派”の主張としては、①(アクティブ・リスニング)だけが大事で、それ以外はあまり意味がないという考え方かと思います。
一方、Mattさんが言うには、たとえ③(パッシブ・リスニング)のように完全に英語に意識が向いていない状態だったとしても、人間の集中力は数十分そこらで切れてしまうのだから、その時に英語が流れていれば英語に意識が向くだろうということです。
つまり、③から②に移行する瞬間が必ずある。
もちろん、①(アクティブ・リスニング)をするのも英語力を伸ばすためには必要なことですが、集中力を必要とするため、大量のインプットをするには少し大変です。
そこで、人間の集中力が続かない性質を逆に利用して、小さな学習を積み重ねていく戦略が役に立つという訳ですね。
”聞き流し”の効果を支持する例は他にもあります。
Kevin’s English Roomのメンバー”やまちゃん”さんは、自宅にたくさんのスピーカーが置いてあり、複数の言語で同じ内容の物語が聞こえてくるという、「・・・?」な方法で複数言語を習得したと言います(しかもなんと9言語)。
「Hippo」と呼ばれる言語学習プログラム(を推奨している団体のようなもの?)があるようで、やまちゃんさんは2歳の時からそれに参加していたとのこと。
実際、Kevinさんと2人で英語でポッドキャストをしており、かなり流暢な英語を話されています。
これも常にアクティブに聴いている訳でも無いとのことで、”聞き流し”の複数言語バージョンと言えそうです。
聞き流しをする時の注意点
ここまでで、”聞き流し”を利用して実際に言語習得された人たちの話を聞いてみると、「”聞き流し”に効果が無い」とは一概に言えないように思われます。
その一方で、聞き流しをする上での注意点もあります。
- 難しすぎるものは選ばない
- 頭を使わない活動の時に限る
まず1つ目。
Mattさんの事例で紹介したSteve Krashenという言語学者は、大量の「Comprehensive input」が重要だと言います。
単に大量のインプットと言っても、聞く内容は”Comprehensive”、つまり理解できる内容である必要があるとのこと。
何言っているか理解できないものは、聞き流していても意味のある言葉として頭に入ってこないので、そこは自分のリスニング力(聞く力)に合わせたものを選んだ方がよいでしょう。
そして、Atsuさんが言っていたように、時には分からない表現を調べて、知っている表現の幅を広げる作業も必要なため、結局のところアクティブ・リスニングもある程度は必要だということです(人間知らないものは知りませんから)。
また、プレシデント・オンラインのこちらの記事でも触れられていますが、”聞き流し”といっても、同じ音声を繰り返し聞くことが重要だそうです。
こうして整理してみると、”聞き流し”に過度な期待はせずに、「やらないよりやった方がマシ(Better than nothing.)」くらいの温度感でやるのがいいのかなと個人的には思います。
イマージョン(Immersion,どっぷり浸かるイメージ)という言葉を用いられることもありますが、とにもかくにも「英語に触れる機会を増やす」という目的で聞き流しをするのは悪くないと思います。
私が愛読している英語学習ブログの「Enjoy Life in English!」の「準ネイティブレベルの英語力に到達するのに必要な勉強時間」という記事では、「英語圏の5歳児は17520時間、英語を耳にしている」ということが書かれています。(17520時間=730日)
母国語というのは5歳までにそれだけの時間耳にしているということですから、第二言語学習者は相当な時間を費やす必要があるのも頷けますね。
聞き流しに使えるアプリ
ここまでで、聞き流しも戦略として悪くないと思った方向けに、聞き流しを実践する上で役立つ教材をいくつか紹介します。
Youtube
個人的にはYoutubeが一番おすすめ。
金銭的に余裕があれば、Youtubeプレミアムもおすすめです。月額1200円位で動画をダウンロードできるので、Wi-Fiが無くても一生聞き流せます。
英語が聞きたいのに日本語の広告が流れてくる煩わしさからも解放され、普段のYoutubeライフも快適になります。(もう戻れない)
Youtubeを使った英語学習法については、他の記事でも紹介していますが、好きな動画を繰り返し聞きたい場合、ダウンロード機能が超超役立ちます。
実際私も、通勤中や家事をしている時は聞き流すようにしています。
ポッドキャスト
次のおすすめはポッドキャストです(iPhoneのデフォルトの紫のやつ)。
私もYoutubeプレミアムに入る前は、こちらで色々と聞いていました。
「Kevin’s English Room」や、「All Ear’s English」、「マット竹内のビジネス英語」などなど、色々あるので好みのものを選んで聞くといいかと思います。
無料なのもGood!
オーディブル
次に、オーディブル。月額1500円と少し高いですが、読書好きだけど読書する時間がないという方におすすめできます。
ただ、洋書の種類は限られていて、流行りのビジネス書などはオーディオブックとして購入が必要になるため、追加でお金がかかるところがややネック。(私も試しましたが、すぐYoutubeに戻りました。)
最後に
以上,英語学習において否定されがちな”聞き流し”について、あれこれ書いてみました。
私自身、上で紹介した「Matt vs Japan」の動画を観て、約1年前から大量のインプット中心の学習に切り替えることにしました。
ここまで実践してきた私が思う”聞き流し”のいいところは、「負荷が小さい」ことかなと思います。
言語学習はどうしても時間がかかる側面がありますので、いかに負荷を少なくして細く長く続けるかがカギになってくると思います。
がっつり勉強するのは疲れますが、聞き流しなら案外続けやすかったりするので、英語学習の一環でやってみるのは十分価値があるかと思います。
一方、短期間で英語力を上げたい受験生や、資格試験を目指している人には不向きですね。
そしてもちろん、英語力を本気で伸ばしたければそれ以外の学習も必要かとは思います。
以上、少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。