今日はおすすめ書籍シリーズ
「学び方の学び方(LEARN LIKE A PRO)」
(バーバラ・オークレー,オラフ・シーヴェ著,Achievement Publishing出版)
という本について紹介していきます。
Amazonでたまたま見つけて「学び方の学び方…?なんやそれ!」と興味をそそられ即購入しました。
勉強の仕方なんて,ちゃんと学んだことはなく,今まで考えたことすらありませんでした。
どんなもんかと思って読んでみましたが,新しい発見も多く,めちゃ勉強になりました(学生の頃に読みたかったと心底思いました)。
この本はこんな方におすすめ
- 「一日何時間も勉強しているけど結果が出ない」
- 「勉強のモチベーションが上がらない」
- 「すぐに集中力が切れてしまう」
- 「どうやったら効率よく勉強出るか知りたい」
今日は,そんな本書について,個人的に大事だと思った部分に要点を絞って解説していこうと思います。
本書でも触れられていますが,自分で本を読んで”積極的に学ぶ”姿勢が勉強で成果を出すために大切のようですので,興味ある方はぜひ手に取って読んでほしい一冊です。
勉強の仕方について見直すきっかけになれば嬉しく思います。
”消極的”じゃなく”積極的”に学ぼう
本書によると,学習には2種類の学習があります。
それは”消極的な学習”と”積極的な学習”です。
もし勉強で成果を出したい(テストでいい点を取りたいとか,資格試験に合格したいとか),と思うのであれば,”積極的な学習”がきっと役に立つはずです。
当たり前のことですが,考えてみれば不思議だと思いませんか?
学校では,同じクラスで,同じ空間で,同じ先生の授業を同じ時間だけ受けて,同じ量の宿題をこなす。
それなのに,学習の習熟度は人によってマチマチですよね。
「塾に行ってないのに成績優秀な人」もいれば「塾に行っているのに成績が伸びない人」もいる。
その違いを生むのが,その学習が”積極的”か”消極的”かの違いです。
もちろん,授業以外でどれだけ勉強に割いたか,そしてその勉強の質によって成績は変わってきますし,そもそも学校での「勉強」とか「学力」というものを,その人がどれだけ重視しているかによってモチベーションも変わります。
ただ今日は,あくまで「成績を伸ばしたい」と思っている人向けに書いていますので,その辺りは割愛します(もちろん学校での勉強だけが全てではないですよね)。
つまり,授業であれ自分で勉強している時であれ,”積極的”に学習しなければ,中々成果には結び付きにくいといったことが起きてしまうのです。
こんなこと言っておきながら,自分も学生時代は典型的な”消極的学習者”でした(その結果浪人することになったのだけれど。笑)。
「授業がつまんないのは先生のせい」
「成績が伸びないのは授業のせい」
と結果が出ない原因を他人に押し付けたくなってしまう気持ちも痛いほど分かりますが,ここは一つ,冷静かつ謙虚に,自分の学習方法を見直してみるのも手かもしれません。
では,積極的な学習とは何か?どうすれば積極的に学習できるのか?
という疑問が湧いてくるかと思います。
その核心にあるのが”回収活動”です。
回収活動とは,知識を”自分の頭の中から”取り出す作業のことです。(ここすごく大事)
要は,”思い出す”という行為です。
これは「記憶のコツ」についての章にも書いてあるのですが,私たちが学習する目的は,「知識を”自分の頭の中から”取り出せるようになること」なんですね。
それも,もはや「何だっけあれ?」なんて考えることもなく「あー知ってる知ってる」という感じになるまで頭の中に染み付けばこっちのもんです。
そして,そんな状態に持っていくためには,何度も何度も「思い出す」という作業をする必要があります。
”積極的な学習”では,神経細胞(ニューロン)の軸索(神経細胞の足みたいなもの)が隣のニューロンに向かって伸びていくのですが,”消極的な学習”ではこれは起きないと本書では説明されています。
つまり,ただ対象を眺めているだけの”消極的な学習”ではニューロンの軸索が伸びないので,いつまでたっても記憶できないということです。
私たちの記憶は神経細胞の結合が強固になることで形成されますので,何度も何度も自分の頭をテストして”思い出す”行為を繰り返し,やがて”知っている”状態(=簡単に思い出せる,頭の中から知識を取り出せる状態)に持っていく必要がある訳ですね。
ただ,実際のところ,
「それ大変やん!」
「それ疲れるやん!」
と思ってしまうのが正直なところだと思います。
私もそうでした。
そう,学習って疲れるんですよ。だから皆やりたがらないし,続かない。
(ニューロンの軸索が伸びるってことは,細胞の形態が変化するということですから,それだけエネルギーを使うはずです。細胞の形態変化にはアクチンフィラメント(細胞の骨みたいなもの)を合成したり,変化させたりする必要があるので,筋肉と同じように,脳みそも使い過ぎると疲労感を感じるのかな,と勝手に思っています。)
ではどうすれば,疲れるし大変な学習という作業を続けられるのか?
次のポイントに進みましょう。
やっぱり休息は大事
「学習とは,繰り返し思い出す作業」であり,それは私たちの脳にとって,とても疲れる作業であることが分かりました。
そこで私たちが次に知るべきことは「休息の大切さ」です。
本書では「頻繁に小休止を取ること」が勧められています。
理由は,休んでいる間に学習した内容を整理したり,長期記憶の領域に移すといった作業が行われるから。
ご存じの方も多いと思いますが,これは「ポモドーロテクニック」と言う有名なテクニックの一つです。
人によって時間は多少変わると思いますが,25分集中したら5分休むといった具合に,頻繁に小休止を取ることで,「集中⇒休息」のサイクルを繰り返すというものです。
私たちの頭は,一度に処理できる情報量が限られています。
25分学習したとしても,最初の5分間で学習した内容って意外と忘れていたりしますよね。
人間である以上一日数時間もぶっ通しで集中し続けることは難しいため,
- 20~40分の学習
- 5~15分の休息
を1セットとして,これをひたすら繰り返していくことが効率としては良いようです。
私自身,学生時代「1日○○時間勉強するZE!☆」と,どれだけ勉強時間を割いたかばかり意識して,ダラダラと長時間勉強し,蓋を開けてみれば「何も身についていなかった」ということがしばしばありました。
結果,大学受験では見事に落ちましたので,もし中高生でこの記事を読んでいたら,私みたいに「勉強時間厨」にならないように気を付けましょう。(反省反省。)
”集中モード”と”拡散モード”を切り替えよう
休息の大切さが分かったところで,続いては「行き詰った時の対処法」について紹介します。
勉強しているとどうしても,”行き詰まる瞬間”というのが訪れます。
学習とは,”未知”を”知”に変えるプロセスに他なりませんから,知らない問題にぶち当たった時には,私たちは「あー分かんねえ」となるのも当然です。
では,こんな時どうすればいいのか?
ここで大事になるのが,「”集中モード”と”拡散モード”の切り替え」です。
”集中モード”とは,文字通り「集中している状態」を指します。
”拡散モード”とは,「何かに集中することなく,さまざまな考えが頭の中を漂っている状態」を指します(本書より一部改変)。
拡散モードに入っている状態というのは,シャワーを浴びていたり,散歩していたり,料理を作っていたり…といった状態が当てはまります。(”デフォルトモード”と表現されることもあります。)
「集中していくら考えてもいい案が思い浮かばなかったのに,ふとした時にはっとひらめいた」といった話を聞いたことがあるかと思います。
これこそが”拡散モード”の力です。
集中モードでは,1つの回路を集中して使うのに対し,拡散モードでは,1つの回路を集中して使わない代わりに,複数の回路を行ったり来たりできるため,それらを組み合わせて適切な解を見つけ出すのに向いているとのことです。
詳細は説明が難しいので,ぜひとも本書を読んで頂きたいのですが,要するに,
集中モード:狭く深く
拡散モード:広く浅く
みたいな感じで捉えてもらえればOKです。
ただ,ここで注意点が一つあります。
それは,拡散モードは”その対象について思いっきり集中した後にしか現れない”ということです。
”その対象のことがずっと頭の片隅にある”からこそ,答えがひらめくのであって,”集中して,考えまくって,行き詰まる”というプロセスを経ずには,何も思いつくことはないということですね。
この点は注意が必要です。
集中モード→拡散モードの順番が大切です。
まとめ
今日は,「学び方の学び方(LEARN LIKE A PRO)」という本について,要点を絞って紹介致しました。
もちろん本書のすべてを説明しきれてはいないので,「勉強で結果を出したい」「学習効率を上げたい」と考える人は一度手に取って読んでみてはいかがでしょうか。
本書の結論を一言で表現するならば,「脳に負荷をかけることをサボるな」ということかと個人的には思います。
私自身,社会人になって英語を勉強したりしていますが,ついついサボってしまいがちです。
”集中する作業”とか,”思い出す作業”とか,やはり学習するという行為に真剣に向き合おうとすると,どうしても脳に負荷がかかりますので,シンプルに疲れますよね。
でもやはり,”結果を出すため”には避けて通れない道なのかもしれません。
そして,だからこそ”休息”が大事になってくる訳です。
シンプルに,疲れたらちゃんと休みましょう。戦略的に休みましょう。
休息はサボりではなく,学習に大事だと知っているだけでも随分ポジティブに考えられるのではないでしょうか。
ここで紹介した以外にも,本書では学べることが沢山あります。
最後に,私が本書の好きな一説を紹介して終わります。
「最後に,次のことも忘れないように。つまり,成績は大切であるにしても,これまで学んだことそしてこれから学ぶことは,成績そのものよりはるかに大切だ。教育のほんとうの果実は,生涯を通して効率的な学習者になることだ。」(本書P.255より引用)
最後まで読んで頂きありがとうございました。
少しでも参考になれば嬉しいです。